2018年2月2日金曜日

QUIT YOUR BAND

日本語版タイトルは『バンドやめようぜ』、著者は Ian F. Martin。日本のアンダーグラウンド・ミュージックについての本。興味津々な内容だけに原書でオッケー、何でもそうだけど知りたい欲求が勝れば、あるいはノれれば少々の単語などいちいち調べなくても読める。

むしろ逆に、調べたのは紹介されていたバンドのほうで。チョロっと一部、この前の記事にも載せてありますが。同じ日本にいながら私、インディーズなんかも好きなほうだと思うけど、まー不勉強でした。べつに勉強と思って音楽、聴いてないけどさ。


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そういえば何日か前、夜にたまたまNHKクローズアップ現代「韓国から世界デビュー!?スター新時代」というのがテレビでやっていて、ダンスなんかを必死に頑張っている多国籍軍アイドルたちの(実際、世界で活躍しているグループも多く)プロデューサーの言葉がほんのチラッと最後のほうに。曰く「日本の音楽シーンの多様性がうらやましい」と。

米国に次ぐ世界第2位の音楽マーケットというのは、今もそうなんだろうか。表徴の帝国だかどうだか知らないけど日本、じつに独自で多様なものが次々と生まれて消えて、しているとすれば文化的にはおそらく肥沃に違いない。カタカナというかたちで外来物を取り込みつつ排除するような言語の性質によるのか、あるいは民族性(単一民族性?)なのか、サイコ・ジオグラフィカルな状況がそうさせるのか。

韓国では、アイドルならアイドルばかり、わりと一色だそうで。たしかにベタな感じがしました。プロフェッショナルだけど、それが逆になんか田舎っぽくて。熱すぎ? ポーズでもいいからもう少しクールに。いや、だからー、そのキメキメな「クールっぽさ」じゃなくてさ、たのむぜオイ、と。お茶の間の視聴者、ごはん食べながら勝手なもんで。


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昔の浮世絵のユニークさや、そのアンダーグラウンド版・春画の性的アナーキーさやユーモアなどなど、外国人を魅了し続ける日本の(というか江戸?)コンテンツは確かに、もともと、どこか大胆で奔放なところがある気がする。

アメリカ発祥の「クール」を例えば日本(江戸)の「粋/洒落」と並べるとして、それらに敵対するのが、アメリカでいう「スクエア」のような硬直した真面目さだとしたら。2013年8月にも引用した J. リーランド『ヒップ』から再び(ヒップ=クールとして)↓

ヒップのパラドクスのひとつは、もっともコミットした場合、あるいはひたむきに追求したときに、ヒップは全然ヒップでなくなるということである。(p444) 
ヒップは流動的で実体をもたず、スクエアが把握するのと同じスピードですばやく変化する。身振りを考案した観念ではなく身振りだけを追い求めると、手にするのは空気だけである。(p464)

クール・ジャパンって(もうすっかり死語?)どうせなら、この水準のクールであってほしいもの。クローズアップ現代で「世界を目指す」カッコよさげな韓国をうらやましがるような、そんな料簡じゃなくて。NHKって意図的なのか天然なのか、すぐゴッチャにするのが良くないと思う。役所なんかもっとヒドイけど。


ご存知ですか、このポーズ? と同「クローズアップ現代」より。これはお茶目でいい。



ポケモンや、オタク・カルチャーの故郷であると同時に、女の子たちの Kawaii ムーブメントの震源地でもある日本。そういえば “渋谷系” ミュージシャンの Cornelius(もともと映画「猿の惑星」に出てくるチンパンジー博士のコレ、名前というのもさすがに洒落てます)が海外ツアーをたくさんしていた頃、言っていたのは日本や東京でなく「from 中目黒 to Everywhere」と。

そうそう、ジャパンなんて言わなきゃいい。『QUIT YOUR BAND/バンドやめようぜ』だって、もちろん反語。クールの始まり同様、どうしようもない状況下であればこそ希望があるはず。「カッコイイのは恥ずかしい」っていうのも私らが(清水ら、いまやジジイだけど)新人類なんて呼ばれた時代以降、常識だったはずじゃん。

本物のクールを目指すのか(いや目指しちゃダメなんだけど。本物っていう言い方もじつにアレだし)あるいは「クールっぽさ」で引き続きバカ(いや意地の悪い利口よりずっとマシだと思うけど)だますのか。韓国も日本も、アイドルもファンたちも、……と書いてて時間なくなって、あー以下略。とにかく、ミュージシャンもアーティストもいろんな会社もそれいけ後期資本主義、踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら……!


It's a system that allows the girls to achieve their dreams, which then act as a vicarious substitute for the fan's own dreams. The "dream" of the idols is an abstract thing though, and all it really amounts to is the circular logic of pleasing the fans --- after all, what is the purpose of an idol other than to be idolized?(『QUIT YOUR BAND』p194) 
それは少女たちに夢をかなえさせるシステムであり、それが即ちファンたちの夢(想像的な、代理の)でもある。しかしアイドルたちの「夢」とは抽象的な代物であり、それが本当に意味するのはファンたちを喜ばせること、という循環論理。結局、アイドル視されること以外に、アイドルたちにどんな目的があるというのか?





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