2017年9月7日木曜日

JAPAN 1974-1984/光と影のバンド全史

高校〜大学時代どれほど影響されたことか、このバンドに。20代のようやく後半から「同じ David でも、Byrne」となったものの、それまではもう Sylvian が神様みたいなもので。自分が作る曲なんかでも、歌い方も含め(当社比)さんざん真似してました。Robert Fripp とやった「The First Day」くらいまで。

そんな遠い昔話のはずが、今になってまた『JAPAN 1974-1984/光と影のバンド全史』なんての出るから、もういいじゃんと思いつつ、つい買ってしまった。で、興味本位に読み始めたら意外にこれ、ひとつまえのブログ記事「ロック・バンドの売り出し方」の実践編といった感じで、おもしろくて。





何ページ目だったか、「失業した美容師のための音楽」とはナルホド(今となっては)上手いこと言うなぁ、と。そもそも、たいして音楽的な内容もないうちからメンバー念入りに化粧だけはしていて、おかげでイギリス本国では閑散としたギグをおこなっていた時期に、なんと日本では女の子たちがキャーキャー騒ぐ、いきなり武道館。

ホモセクシャルでもゲイでもなく、単にそういう美意識だったわけで当人たち。David Sylvian(以下、デビシルと略)の「世界一、美しい男」っていうのも考えてみれば、かなり恥ずかしい賛辞には違いない。しかし、やがてデュラン・デュランなどのフォロワーや「ニュー・ロマンティック」ブームがあとに続くとしたら、女々しいだの何だのさんざんバカにされた JAPAN の初期から中期も、ムダではなかったと。やり続けた図々しさも立派ですが。

日本のしかし武道館がなければ、つまりその予想外な収益がなければ、それ以降の JAPAN があったかどうか。そもそも、たいして実力もない彼らをレコード会社にどうにか売り込んだマネージャーの頭の中のこと、そして、本人たちには不本意だったとしても(ならば、なぜバッチリ化粧する?)日本のミーハー・ファンたちの大貢献について。奇しくも JAPAN なんて名前がそもそも……アートを結果的に支えることになるヒト、モノ、カネ、のじつに不思議な縁。


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外向きなパンクとは逆の、引きこもり系。そのくせ、アーティスト気取りだけは当初から人一倍という、いわば「困った人たち」。社会的なメッセージもなく、イメージやスタイルのみ。音楽雑誌がイライラして、けなす気持ちも今なら理解できる。

しかし、昨今の時代状況との比較でいうなら、引きこもって自己評価をどんどん下げて自滅していく(あるいは、傷を舐め合う弱者の群れに堕していく)連中に比べれば、無根拠とはいえ「困った人たち」のプライドの高さはまだ、何かを生み出す可能性がある? いや内省的なアーティスト気取りって個人的には、20代の半ばに死ぬほど(当社比)勉強してから一転、堪え難いものになったけど。

とにかく。絶対に化粧をやめなかった JAPAN の頑固さ、実際の知性はともかくとして(?)美くしくあろうとすることで、何と言われようが自己評価だけは断じて下げなかった彼らの図々しさが、やがて本当に時代を動かすようなものを作り出してしまったという、この流れ。妙な教訓がここには何かあるような気がする。それこそ女性が美しくあることにも似た? 異性に媚びるっていうのとは違うよね、これ。

インテリジェントだとは思わないけど、とにかくアートとしてその “質感” においては本当に、見事な達成があったと思います、結果的に。特に JAPAN「TIN DRUM」から、デビシル関係のソロも含めた何枚かにかけて(それ以降はフォローしてないので分かんないけど)……すべて表層といえば表層、あくまで質感/肌触りの話にすぎないにしても!


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で、ヒト、モノ、カネ、のこと。作曲者としてクレジットされるのが当初からデビシルのみで、権利関係の契約もそれに基づき他のメンバーと違っていたり、名実ともに有名になってからのワールド・ツアーのギャラが全員、思いのほか少なかったり。興味深い話がいろいろ。観客動員が見込めない時期、つまりカネにならない時期にとっては大した問題でないことも、売れるバンドになってからは大違い。

それこそ、カネにならない時期から面倒みていたマネージャーや、レコード会社の言い分もあるには違いない。あれだけバッチリ化粧していながらサービス精神なく、プロモーション・ビデオにもライブ・パフォーマンスにも、あんまり凝らない/凝れないだとか。下手くそな頃からレコーディングには命をかけるものの、商売的なところには無頓着だとか。

それが「カリスマ性」にたまたま見えたとしても、やはり基本、いい気なもんだと思います。というか不器用なんだと思う、連中。他人事じゃないけどさ。ミックは別か? 本当に変なバンド。それが、たまたま日本のミーハー・ファン(私も末席ながら)などにも支えられながらバンド=ビジネスとして持続し、思わぬ進化を遂げていく様子。何がさいわいするか分からないもので。


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バカ(1985年頃?)
その内省的なアーティスト気取りを真似したバカ(私)の青春時代の思い出はともかくとして、今ひょっとして学ぶべき/再考すべきことがあるしたら、ある図々しさについて、つまり美しくあろうとした彼らの化粧=頑固さについて、かと。

ある種のプライドと心意気ってことね、要するに。多様性の時代なりの。上の記事(↑)真ん中へん参照。あのー、言っときますけど YMO 周辺とか男でもみんな化粧したんですから、この頃は。

ちょっとでも動け、さらに歴史!


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