2016年12月21日水曜日

ポップスの作り方

オリジナル・ラヴの田島貴男氏によるこの本を、最初たまたま本屋で見つけて「ふーん」なんつって一度は帰って、それでも気になって数日後また寄ったとき 1時間くらだったかな、立ち読みして「やっぱ買っとこ」と。浅田彰『構造と力』でいう、構造のことが書いてある気がしてコレ。とにかく、てなワケで、いささか我田引水めに、都合のいい引用と感想文をば。


曲作りのテクニックとかサウンドのセンスとか、そういうものは核になる心の部分が前提としてあった上でのこと。いいかげんな作り話ではなく、誰かが好きだとか、愛おしいとか、寂しいとか、そういう自分の本当の気持ちに突き動かされて歌を作っていくのでなければ、本当の意味での “歌” は作れない。そのことは、いつも痛感してきた。(p.97)


それをスカした(シャレオツな?)感じにやるか、笑いでいくか、あるいはド演歌に “あえてする” だとか……そういうのは要するに「演出」の問題といっては、言いすぎでしょうけれども。まぁ、あくまでその “核になる心の部分” が、無理なくムダなく表現されることが良い「演出」なのであってみれば。

とにかく、この、田島貴男氏のいう “歌” が自分にとっても最近、ものすごく気になり。私の場合は “絵” だけど、ほとんど同じ意味で。アレやコレがどうすれば最高のかたまりというか、“かたち” になるんだろうと。

年齢もほぼ同じでルーツが「パンク/ニューウェイブ」だったり、宅録にハマったり、というのにも大いに共感しながら。つまり、最初からいわば「自然に」歌ありきでなく、むしろ、そういう自然さを(なんか違う、ダサイ!などなど)否定し、ぐるっと大きく迂回してきた末にたどり着いた “歌”。……歌は歌じゃん、どこが違うんだって言われそうだけど。違うんだな、ポストモダン状況下。絵もそう。


本当に何ミリ sec の感覚、聴いている人たちは気付かないような細かい世界。でも、そこが聴こえてこないとミュージシャンになれないっていうかさ。(p.48)


この(↑)引用ここで適切なのか? 適切でない気するけど、とにかく歌であれ絵であれ。それがないと、いくら上手くてもハイテクでもダメな部分、とでもいうのか。「関係ないじゃん、そんなの」っていう気合いまでも含んだ(?)何ミリ sec!

あの、言っときますけど自分自身このこと、実現できてるって前提で書いてないですから。その存在が理解できていることと、それが自分で実現できていることとは違う。もちろん、いつだって、実現できたらと思ってます。それが描けてないと画家になれないっていうかさ。


大学のサークル的な、わかりあえる人たちだけで共有しているマニアックな世界の心地よさというのもわかるんだけどね。そうじゃなくて、マニアックに音楽を聴いていない人たちにも “これ、なんだかいいよね” って思ってもらえるような音楽、ヒット・チャートの上でも勝負できるポップスを作ってみたかった。(P.41)


うん、この「わかりあえる人たちだけで共有しているマニアックな世界」がいま、そこかしこに。オタク天国。情報社会の、島宇宙。たしかにその心地よさも(自分だっていくつかの分野についてはオタクなので)わかる。ただ、その中にいると、なんでだろう、個人的に、だんだん恥ずかしいような心持ちがしてきて、とどまっていられない、なんか茶化したくなってくる、だけで。 High カルチャー/Low カルチャー関係なく。

昔から、そんな奴だった気がする自分。困ったもんで。そういう意味では冒頭の引用文の、たとえば「寂しい」なんていう心、自分の場合にはある明確なパターンがある気がする。それは、たぶん島宇宙になじみきれないという意味で仲間も少なく(わるかったよ)寂しいんだけど、あちこちの島宇宙で逆に自分みたいな奴に出喰わすたび、なんか連体感みたいなもの感じたりして。途切れ途切れの友情だらけの、Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band てか。

……ダメだわ、ぜんぜん薄っぺらい。アレやコレがどうすれば最高の “かたち” に、この場合はひとつの文章に、なるんだろう?

とにかく。普遍性にまで到達したハダカの心が、ぴったりの言葉となり、リズムとメロディに乗ってさらに強まり、拡がっていく様子……「構造とその外部」じゃないけど、いったい誰が実際それ(歌)を作っているんだろう、と思えるような。偶然と必然、一と多、頭と身体。一瞬から数ヶ月、数年までの時間感覚。などなど、“歌” や “絵” や “かたち” づくりのための田島流ノウハウに(実際、精神論だけじゃなく例えば p.35「曲の方向性を覚えておくため」の仮タイトルの大事さ、みたいな超具体例にも)学ぶところ多かったです。途中のこれ(↓)なんかも含めてイェイ、拍手な一冊!


でも基本はいびつなまま、今でもアホです。(p.56)



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