2016年10月31日月曜日

Dogs Don't Tell Jokes

If it's a disaster, then it's a disaster.(p159)

というセリフとともにゲイリーはタレント・ショウに向かう。先日の『Someday Angeline』の続編というのか Louis Sachar による今回は、スタンダップ・コメディアンを目指す「まぬけのゲイリー」が主人公のお話。

突然ですが、スキーのジャンプ台の上にいま自分がいるとして。3、2、1、スタート! あとは身体が考えるとしか、言いようのない状態……そんなことが最近また頭によく浮かびます。このところのフリー音楽セッションがかなり影響している気するけど、何かを慎重にゆっくり構築するのでなく、もっと一回的でダイナミックな(スキー・ジャンプみたいな?)中にあらわれる、宝石みたいなもの。いやその原石というのか、とにかく、事前には想像しようのない何かについて。

絵でも音楽でもテキストでも何でもいい、思いもしなかった宝石/アイデア/イノベーション、の原石。「なんでこんなの出来たんだろう?」というような。とにかく、それが生まれやすく、そしてキャッチされやすくするためには? なんてことで頭がどうも最近いっぱいで。例えば、ジョークの生まれ方もまた(↓)

He never decided beforehand what his jokes would be about. He'd start talking, and out they'd pop.(p.74) 
彼にもジョークがどうなるか、事前に決められなかった。とにかく話し始めると、出てくるのだ。

そう、そう思う。出てこないこともあるけど。本当にいったい、作品って、誰がつくってるんだろうと。近代的なPDCA、計画 Plan し、実行 Do し、評価 Check し、改善 Act する手堅さと別な、もっと一回的でダイナミックな中からの、グルーヴィな、たまたま宝石みたいなもの。それが、安定的に得られるようなら世話ないんだけどさ(ほどほどのものを安定的に得たいのであれば断然 PDCA!)……ありえないからこそ貴重なのであって。

ゲイリーもタレント・ショウの準備をしていて、だんだん分からなくなる。というか自分のジョークが全然、おもしろくなくなってくる。そう。これ必要なプロセスなんだろうけど頭でやりだす(考えだす)とホント、徹底的にやればやるほど、ありますなぁ私もしょっちゅう。いやジョークに限らず、作品であれ何であれ。これの何がおもしろいんだろう、と。


これの何がおもしろいんだろう?

だめだオレ、終わった。やめた、もう出演しない。と決めたタレント・ショウに「You never hear dogs telling jokes, do you?」(p.144)をきっかけに再び挑戦することになり、いま、それでもなお、こんなオレに出来ることは?……と正直この本、途中ちょっとダレるけどショウ前日にアンジェリン(ネブラスカの学校でいま航空物理と核化学をやっている、このとき10歳)から「Something terrible is going to happen. A disaster」(p.156)と緊急電話があり、このブログ冒頭の一文へと。そこからのクライマックスが、もう。

もし、それが大惨事 disaster なら、大惨事だということさ。パンクロック的な「さあ世界をぶち壊そうぜ」と同様、なかばヤケクソな、守ることと真逆な、だからこその晴れやかさ? 万が一の宝石を得るための方法ならざる方法? いや、そこに目的や方法など、きっと、もはや、ない。宝石なんかもう、どうでもいい。どしゃ降りの雨も「どうぞ勝手に降ってくれ、ポシャルまで。いつまで続くのか見せてもらうさ」なんつって(C)RCサクセション。とにかく、カモン、運命!ってなもんで。

But in the back of his mind, he heard Angeline say, "You have to be the ball," and for a nanosecond he understood. The ball came down. His hands went out to meet it, and he gently cradled it against his chest.(p.102) 
心のどこかでアンジェリンの声がした「ボールにならなくちゃいけないのよ、ゲイリー」その瞬間に彼は理解した。ボールが落ちてくる。彼の手はそれを迎えにゆき、ゆっくりと胸のまえに受けとめた。

これも(↑)身体が考える状態であって、たぶん頭が考える PDCA 的な「制御」とは別な、もっと目的と方法がひとつであるような何かきっと、プロセス=はたらき。悟りというのか、あるいは Life というのか。電光石火の瞬間と、そこからのスローモーション。死ぬほど怖かったはずのスキー・ジャンプにしたところで……? 人間や時間って本当にそれくらい不思議なもののような気がする。

かくしてタレント・ショウでゲイリーに大惨事は起こり、ボロボロになることで(宝石どころかゴミが散乱することで?)むしろノり、加速し、諦めかけていた=思いもしなかった成功があらわれる。って、つくづく、はぁ、ものごと分からないもんで。大惨事は本当に、悲惨なのか?(悲惨でしょう)ゴミって本当にゴミなのか?(ゴミでしょう)とにかく。

Daydreams never come true. If you imagine something happening, then it never happens that way.(p.99) 
空想は決して現実にならない。もし、きみが何か起こっていることを想像したらば、それは決してそのようには起こらない。

ジョークについてのお話ですから、あくまでこの本。あんまり真剣になりすぎるのも逆にアレでありまして。なので、人によると思いますが私にとっては、こういうの(↑)最高。ヒネるねまた。dreams never come true って、おいおい。お見事。

(おわり)

※ このブログ記事の途中に貼ってある画像は、本の中にも出てきた WA。むかしモザイコでも描いていて、mozaiko lab. blog 2012年11月21日「さる巨匠」より。

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