2016年2月18日木曜日

Blackで、Coolな。

ミステリー・トレイン


ジム・ジャームッシュ監督「ミステリー・トレイン」DVDをおとといの晩、風邪ひいた病み上がりに、ひさびさに観てまして、たまりませんな。夜中の2時にラジオから静かに流れるエルビス・プレスリー。人気のない通りを走り抜けていくクルマ。遠い夜汽車の音。

アーケード・ホテルのフロント from 映画「ミステリー・トレイン」

横浜から、はるばるやって来た日本人カップルの泊まるメンフィスの安ホテル。男はクールを気取って、靴だけはいつもピカピカに。女の「あなたってどうして、いつもそんなに悲しそうな顔してるの?」に、男「いつでもハッピーだよ。これがおれの顔なんだ」と。

それぞれの事情のなか 3組の人々が、過ごす前日から翌日までの話。その安ホテルでの一夜をはさんで。フロントには黒人のホテル・マンとボーイ。銃の音もしますが全体的には、じつに静かなもの。

この静かさが Cool なんですな、きっと。仕事をクビになり、酒屋の店員を思わず撃ち殺し、ヤケクソな男とそれに付き合わされる男たち。たまたま相部屋することになる、まったく異なる境遇の女 2人。そして日本人カップル。それぞれには期待が外れたり、だまされたり、不本意だったとしても結局「それが何?」とばかりに。静か。役者の演技のみならず、映し出される風景までもが。



Black であること


映画の中で、ヤケクソな男役のジョー・ストラマーが「おれだって望んで白人になったわけじゃないんだ!」と。いいシャレですな。メンフィス。黒人たちの落ち着き様と対照的に。

そう、ちょうどその10日前でした、ジェームス・ブラウンの2枚組CDがAmazonでえらく安かったので衝動買いしたの。そのなかに例えば「Give It Up Or Turnit Loose」なんて曲があり、いいこと言うなぁと感心。それを諦めるか、緩めるかしろと。要するに、私なりに勝手に要約してしまうなら「(それが何だろうと)いいじゃんべつに」。苦しみのみならず、しあわせでさえも?

ジェームス・ブラウン(神父役)from 映画「ブルース・ブラザース」

諦めよ、さもなくば緩めよ。その先にある、いささか投げやりでもある真の安らかさ、ぶっきらぼうさが Cool なんですな、きっと。あるいは、Make It Fun、それを(それが何だろうと)おもしろくしろと。ユーモアも強力な武器のひとつ。元々は、何かを持たざる者、社会的な強者になりえない者たちが編み出した、しかし(少なくとも観念的には)断じて負けないための知恵。

J. リーランド『ヒップ』から、もうすぐ 3年。自分の考えも、おかげさまで、だんだんクリアになってまいりまして。そういえば、アンディ・ウォーホルも言ってましたな「ぼくの好きな台詞……だからどうなの」なんて。弱者が負けないための、いや強弱逆転のための知恵。しかし黒人や女性やゲイが差別されていたのも今は昔、リーランド曰く「過去の戦いは終わり、ヒップは(清水注:ここではクールと同義として)勝利した。ポスト・ヒップ時代に突入し」云々。



Give It Up Or Turnit Loose


少子高齢化といわれデフレ不況といわれ、弱者だらけ? 世界的にもテロや難民など問題山積の昨今、それらの解決に向けた何かとても大きなヒントがこの Blackさと、Coolさにある気がします。みんなが少しでも強者になりたくて泥仕合を繰り広げるなか。まさに歴史の不思議というのか、人間全体の英知というのか。いや自然の偉大さ?

ただし、ことさらに「解決」などと力まず、むしろ「だからどうなの」アティチュードでもって。そこですな、たぶん肝は。……なんつって、いちいち書いちゃうところが頭でっかちでありまして私。根がスクエア(堅物)なだけに、はぁ。

タクシー・ドライバー from 映画「ナイト・オン・ザ・プラネット」

とにかく。これも(↑)同じ頃のジム・ジャームッシュ映画で、やっぱり何べん観ても、たまりませんな。女優にならないかとのスカウトを断って、「あたしはタクシー・ドライバー(そのあとメカニックだったかな、整備士になるほう)がいいの」と。カッコイイ。黄色人種の私も最近、そんなワケで、Blackで Coolに、いきたいもんだと思うのでありました。


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