2015年6月9日火曜日

Tiki カルチャーについて

初めて Martin Denny の曲を耳にしたのが、YMOによる「Firecracker」という世代。SONYが世界ブランドだった頃の日本発、電子音楽化されたエキゾチカ。赤い人民服(風コスチューム)に身を包んだハイテク東洋人のイメージが、いまから思えば、とても刺激的でした。

それから数十年をへて、たまたま、Martin Denny 本人も中心人物の一人である「Tiki」というムーブメントを知ったのが、YouTube上にあったこのドキュメンタリー、1950s Tiki Culture / Exotica Documentary ("The Air Conditioned Eden") でした。モザイコ・ニュース 2013年07月号のネタを探していたときのこと。

1950s Tiki Culture / Exotica Documentary ("The Air Conditioned Eden")

それ以来、どうも夏が近づくとこの頭を席巻する Tiki イメージ。そう、それはまさにイメージであり、ファンタジー。それだけに強力で。何せこの Tiki カルチャー、その名もズバリ「The DVD of Tiki」カヴァにもあるとおり、

Ready for some armchair travelling? Grab a cocktail and fly with us to the most exotic chapter in American Pop Culture: The Tiki Era! 
アームチェアー・トラベルの準備はいいかい? カクテル片手に我々と、アメリカン・ポップカルチャーの一番エキゾティックな章、Tiki 時代への旅へ飛び立とう!

……と。要するに、ポリネシアン・ポップ(Polynesian Pop)とも呼ばれる南洋趣味。居間のアームチェアに腰かけたまま、あるいは涼しいエアコンの効いたレストランなんかで、エキゾチックな「南の楽園」の雰囲気にひたるという、1950〜60年代のアメリカで流行した大衆文化 Tiki。それにまた21世紀の今日、魅了されてしまうわけで。

「The DVD of Tiki」や、このあいだフランスから(日本国内に情報が少ないのでネットであちこち探し)届いたばかりの「Tiki Pop」DVDの中でも何度も言われているとおり、くり返しますが、それはまさにファンタジー。想像の世界。だからこそいっそう魅力的。もちろん、ハワイなどへの現地ツアーも当時(今でも)あったにせよ、先にまず「南の楽園」のファンタジーありき。




まずは、それいけファンタジー!


ファンタジーが決して悪いわけでなく、いまや世界はおそらく大小無数のファンタジーに覆われていて。それこそディズニーランドを筆頭に、Japan Cool の声もかまびすしいマンガやアニメや……いや Cartoon / Manga の類にかぎらずハリウッドなどの映画関連産業や、ロック音楽にしたところで。そして21世紀の今日、もはや日常生活や、もしかしたら職場でさえも?

冒頭に触れた、赤い人民服のハイテク東洋人が奏でるコンピュータ・ミュージックというのも、きっと、ある時代背景のなかで強い魅力を放った、いわばファンタジー。であればこそ世界的にヒットしたのでしょうし、それをそもそも実現させた当事者たちのシャレ心とセンスと、スキルはやはり大変なもの。

要は、ファンタジーがひしめく世界のなかで、どのファンタジーを選びとるか。あるいは、できうる会社や個人にとっては、どんなファンタジーをさらに作り出すか。その「センス」のせめぎ合いというような気がしますな、ますます昨今。……なんつって、ややこしいので以下略。


で、なぜ Tiki?(自分にとって)


半裸の女性たち(なぜか普通、半裸の男性たちには目がいかず)や、極端にデフォルメされた「神々の」彫刻たち、民族楽器や動物たちの声真似をふんだんに取り入れた妖しい旋律の音楽などなど、想像力を刺激する、Tiki カルチャーのカタログに載っている多くの事物たち……

刺激された想像力は、1940-50年代のアメリカの前衛映画作家 Maya Deren をすぐに思い出しました。彼女の撮った、たとえば「At Land」や「Divine Horsemen(邦題『聖なる騎士たち:ハイチの生きた神々』)」など。これはカクテル片手に鑑賞する感じでない(そこまでたぶん大衆的でない)ですが、とにかく、そこにある日常=非日常性や、ワイルドさ、呪術への好奇心。


考えてみれば #温度一日一曲 001の「Bamboo Music」にしたところで、まさしく欧米人による異国趣味、アームチェア・トラベリングの産物に違いなく。ハイティーンの頃に熱狂した、中国や東南アジアに惹かれたバンド後期の JAPAN は、対象地域や音楽性がちょっと異なり Exotica とはさすがに呼べないものの、その求めた感覚は近かった気がします。

あと渋谷駅のモアイ像って(今もあるのかな)どうして出来たんでしょう? あるいは子供の頃のマンガ、石森章太郎「サイボーグ009」などでのイースター島/モアイのシーンだとか……キリないですが。時代の無意識とでもいうのでしょうか。


で、なぜ Tiki?(文化の利活用/商業面から)


Tiki カルチャーの話に戻ります。それが、インテリアや食やイベントや、リゾート開発など様々な経済的波及効果をもつものだったこと。そして昨今またそのリバイバルに際し、当時(1950-60年代)を知る高齢者たちのみならず、アーティストやデザイナーなど一部の若者たちの支持もあるということ。つまり、たんに古いものというより、そこにある独特の開放感、ヴィンテージ感

地元大垣でも、フラダンスを習っている中高年女性たちが、ときどきイベントに登場しますな。あるいはベリーダンスの愛好者は、同じ女性でも、もう少し年齢が下がって肌の露出も多く、アトラクション始まると男性たちも大喜び。また、山が近い土地柄もあって木工をする人がいたり、いろんな土着的な風習や食文化がまだ残っていたり。……そういったものを括る、なにか魅力的なイメージ/ファンタジーがあれば、と思ったりして。

Tiki もわりと当時からイイカゲンだったみたいですし。さすがにポップ・カルチャー、ごたまぜの大衆文化。何かの参考になりそうな気はする。
独特の開放感


0 件のコメント:

コメントを投稿